[コラム]日本企業が海外事業で「失敗する理由」

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「日本人は英語力がないから海外で活躍できない」と言われて何年も、いや数十年。

外国人に指摘されるという以前に、日本人自身でそう嘆いてますよね。

しかし本当に英語力が問題なのでしょうか?

そもそも、日本人といえど、絶望的に英語力がないわけでもなさそうです。

Education Firstの世界最大の英語能力ランキング(2015年版)を見てみると、調査対象70ヶ国中30位です。

 

英語は言語であり、コミュニケーションのための道具です。

その道具がないなら、身に付けるか、借りてしまえば解決します。(流暢に話せた方が絶対に得なことは確かです。)

それでは英語力をいったん棚上げしてみて、国際的な場でのコミュニケーション能力や競争力が個人レベル、また企業レベルで低い感じがするのは何故か、を考えてみましょう。

僕はもっと根深いところに本当の壁があると思っています。

グローバルリンクスという会社の記事(英語)を引用します。

「多くの日本企業が国外の会社を買収、あるいは合併した(M&A)際になぜ失敗するのか」が本題の記事ですが、M&Aではなく、海外展開を行う日本企業全般にあてはまると思います。

失敗の原因は主に二つあると説明があります。

 

マネジメントが脆弱
②グローバルリーダーシップの欠如

 

どちらの場合においても一番の壁は「文化の違い」ということです。

「日本式のマネジメントを海外でも実行しようとする」とありますが、僕自身、日本、カナダ、シンガポールの会社で日本人と外国人が入り混じった現場で働き、大きく実感していることです。

僕は主に他の外国人とまじって「日本式のマネジメント」下に置かれている立場が多かったですが、この手法によりマネジメントと現場のギャップが非常に大きくなってしまうところを何回も目撃しました。

これは物理的な海外オフィス、あるいは日本国内における海外向け事業両方にあてはまります。

こうなると、現場から不満が噴出します。

批判はやがてただの悪口となり、「英語もできないくせに」というような言葉が出始めます。

もしかしてこのような言動が、日本企業の海外マネジメント担当が仕事の人たちに「英語力がないから現場に伝わらない=うまくいくプロジェクトもうまくいかない」と思わせている原因かもしれません。

しかし、「英語ができない」のは表層の問題です。混沌としたグローバル時代に適応しきれていない日本人が、スケープゴートとして使う言い訳にしかなっていない、と僕は思います。

「文化の違い」を理解できていない、そしてそれを理解しようとするどころか、「このやり方で日本でうまくいった」からという漠然の考え方をもとに当然のように日本式の仕事のしかた、働き方を現場に求めてしまいがちです。

僕はコンテンツを作る会社を数社渡りあるきましたが、これはどの日本企業にも共通した問題なのでは?と思います。

プロダクト・サービスに対する考え方、仕事の進め方、ワークライフバランスなど、いわゆる労働環境におけるすべての角度においてこの傾向が目立ちます。

僕自身、給料や査定面談など非常にセンシティブな内容の詳細が社員の契約書に明記されていないのはおかしいと指摘したら、日本人の上司(英語は流暢)に「その考え方は西洋的すぎる」と言われたことがあります。

海外オフィスで、多国籍チーム(日本人3割程度)で、北米向けのプロダクトを展開している会社で、です。

考え方の基軸が日本中心がゆえに、このような発言がマネジメントから現場に対して出てしまうのです。

つまり、海外でも日本のやり方を外国人主体の現場に押し付けてしまうところに根本の原因があるのです。

文化の違いを考慮せずに仕事を進めようとすると、管理側と現場の溝が深まりプロジェクトが空中分解しかけますし、最悪の場合、本当に空中分解します。

典型的なループはこうです。

※前提として現場は「外国人主体」です。

日本式マネジメント → 現場が違和感を感じる → 現場の優秀な人(リーダー格)がやめる → 採用がはかどらず、日本人で穴埋め → 現場がさらに違和感を感じる → プロジェクトがうまくいかない → マネジメント層がさらにマネジメント(さらに日本化)を強化

これが無限にループするのですが、これを繰り返すうちに組織力自体はどんどん弱まってしまいます。

多様性に対する適応性が非常に低い状態が、日本企業の海外事業失敗の大きな要因となっているのは間違いないです。

どうすればこのような状態を改善できるのか、が僕が探求するテーマです。

多様性への柔軟性を持つことが必要だと僕は考えます。

英語力より遥かにスキル化して実行するのが難しいモノです。

「文化の違いを認識する」というところから始めるのが第一歩なのではないでしょうか。この柔軟性を培うことが前に進む上で必要です。

まずは「日本ではこうだ」という概念から逸脱しましょう。

グローバル化が加速し、とくに流動性が激しいIT業界などでは、固定概念による柔軟性の欠如が致命傷となってしまいます。

文化の違いが理由でチームのモチベーションが低くて生産性やクリエイティビティが低い、と言っている時点ですでにプロジェクトは傾いてしまっています。

「文化の違い」に対応できていないということを問題として認識できていないケースも多々あります。しかしこの問題は必ずといっていいほど存在するので、まず認識することです。

まずは既成概念を捨てて、素直に現場(現地採用の外国人)の考えに耳を傾けてみてください。

これだけでグローバルマインドセットを培っていくことができます。

このマインドセットを持って常に国際的労働環境の改善を考えることを継続すれば、文化の違い」は組織の弱点ではなく、いずれ強みとなります

Satoru

Satoru

サトル。東京で生まれ、神奈川で育つも、オーストラリア・カナダ・シンガポールと人生の約3分の1を海外で過ごす流浪人。2016年現在、シンガポール在住。 日本、カナダ、そしてシンガポールでゲーム開発会社・IT系企業・コンテンツ製作会社を数社渡り歩く。 日本と海外ビジネスの間に立つ役回りがほとんどだったため、その過程で気づいた文化間の葛藤、その融合、海外生活などのテーマを中心に執筆中。 ブログを読んでくれた方、コメントやフィードバック、ビジネスパートナーシップのお話などお気軽にご連絡ください。

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